朴訥・かざりけがなく、口数がすくないこと。無骨で正直なこと。
社家に住む叔父は朴訥な人だった。自治会長も務めた人だったが、いつも口
数少なく嘘がきらいで不器用な人であった。
県議選に出ると言った私に
「俺は木内(現職県議)さんの(後援会)支部長をやった男だ、4年前にはみん
なに木内を頼むと言って歩いたんだ。それが今度は長田が親戚だからって手の
ひら返すわけにゃいかねえんだよ。」
と、いかにも朴訥な叔父らしい一言で私を叱ったものだ。
でも選挙の終盤、社家コミセンで行なった演説会では、心配そうな顔をしな
がら補聴器を耳に充てて私の拙い話に相づちを打つ叔父の姿が会場の一番うし
ろにあった。
叔父、金子成一氏の死を悼み、心よりご冥福を祈ります。「叔父さん、こん
な世の中だからでしょうか?俺が、軽薄な男だからでしょうか? 叔父さんの
ような不器用な生き方ってのが、すごく、魅力的に見えるんです。」
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